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乳がんステージ4の患者様とご家族の方へ

からだにやさしい乳がん治療をご存じですか?

乳がんステージ4の患者様とご家族の方へ

手術、放射線、抗がん剤による乳がん治療を助ける治療法があります。
当クリニックは「からだにやさしい」高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法でがんの克服をお手伝いします。

はじめに…

この度は、日比谷内幸町クリニックのホームページをご覧頂きまして、ありがとうございます。

「からだにやさしい乳がん治療」

私達はこれが乳がんの患者様やご家族の方にとって大変重要なテーマであると考えて居ります。当クリニックでは専門医師によるカウンセリングを経て、患者様のお身体に新たな負担を強いることなく、手術、放射線、抗がん剤といった標準的な治療方法との併用によって双方の治療の相乗効果を高めようとする免疫細胞療法を、個々の患者様のお身体の状態に合わせて適切に実施して参ります。

日比谷内幸町クリニックの乳がん治療

当クリニックでは、乳がんの患者様の状況に応じて、高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法、または標準の治療と併用で乳がん治療を行っております。

乳がんの標準的な治療方法

一般の病院で行なわれる乳がんの標準的な治療には外科療法、放射線療法、ホルモン療法、化学療法、分子標的療法などがありますが、基本的には病期(ステージ)によって異なり、組み合わせて行なっていきます。
手術可能な病期(ステージ)の場合、外科療法を行い、再発の危険性が高い時は、ホルモン療法や化学療法などを行ないます。また、がんの拡がりなどに応じて術後に放射線療法を行なう場合もあります。
しこりが大きい場合には先に化学療法を行い、手術をその後に行うことがあります。
手術ができない病期(ステージ)の場合はホルモン療法、化学療法、放射線療法などを行います。化学療法などでしこりが小さくなり、手術が可能になれば手術を行う場合もあります。

日比谷内幸町クリニックのアプローチ

当クリニックでは、これらの標準的な乳がん治療に「からだにやさしい乳がん治療」である高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法を加えることにより、標準治療だけでは困難な乳がんの克服を目指すだけでなく、標準治療の選択肢がない乳がんの治療を患者様やその御家族と一緒に実施していきます。

標準的な乳がん治療はいずれも何らかの副作用を伴いますが、高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法はそれ以上の副作用を起こすことなく標準治療の効果を高めることが期待出来ます。 抗がん剤との併用により乳がんを克服された患者様がいらっしゃいます。
詳細については、乳がんの治療事例をご覧下さい。

進行期の乳がんの場合

標準的な乳がん治療(抗ガン剤など)と高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法の併用

標準的な乳がん治療が困難な場合

高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法のみ

からだにやさしい高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法の特徴

標準的な乳がん治療との併用により、相乗効果が期待できます

「からだにやさしい乳がん治療」である高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法はリンパ球に含まれる免疫細胞の一つで、生まれつき(ナチュラル)外敵を殺傷する(キラー)能力を備えている「ナチュラルキラー(NK)細胞」を最新の培養技術で2週間ほど無菌状態で個人差がありますが数百倍から数千倍に増殖・活性化し、再び患者さんの体内へ戻すという療法です。

NK細胞のイメージ

高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は「化学療法(抗ガン剤)」など標準的な乳がん治療を妨げない治療法ですので、標準的な乳がん治療と併用ができ、抗ガン剤などのデメリットを高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法が補完し、乳がん治療全体の効果を上げることが期待できます。

実際には主治医と日比谷内幸町クリニックが連携して、2ヵ所の医療機関が別々の角度から乳がんにアプローチできる体制を構築し、乳がん克服を目指していきます。

標準的な乳がん治療が困難な場合でも治療可能です。

「外科療法(手術)」、「化学療法(抗ガン剤)」、「放射線療法」などの標準的な治療で乳がんの進行が食い止められなかった場合でも、採血が可能であるならば、高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は治療が可能です。

高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は、治療を受けられる患者様ご本人の血液を活性化して行われますので、副作用の心配はほとんどありません。

  • 副作用の心配がほとんどありません。
  • 標準的な乳がん治療との併用が可能で、相乗効果が期待できます。
  • 身体全体をめぐるNK細胞を元気に活性化させるため、再発・転移に有効性が高いと言えます。
  • 生活の質(QOL)を高く維持できます。
日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥

この記事の監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)

日本外科学会員。1987年群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院第二外科、東京都立墨東病院 胸部心臓血管外科などで外科医としてがん治療に従事し、2005年より日比谷内幸町クリニック院長。3大治療と高度活性化NK細胞療法を併用した総合的治療を行っています。ドクター紹介はこちら

乳がんステージ4とは、がんが乳房から離れた臓器(骨・肺・肝臓・脳など)に転移している状態を指します。もっとも進行した病期ですが、「末期がん」と同じ意味ではなく、治療によってがんの進行を抑え、生活の質(QOL)を保ちながら長く付き合っていくことを目指せる段階です。

実際に、国立がん研究センターの統計では乳がんステージ4の5年純生存率は39.8%であり、診断された方の約4割が5年以上生存しています。さらに近年はCDK4/6阻害薬や抗体薬物複合体(エンハーツ)など新しい薬が次々と登場し、治療成績は改善を続けています。

この記事では、乳がんステージ4の定義、最新の統計に基づく生存率・余命の考え方、転移部位別の症状、検査とサブタイプ分類、標準治療の全体像、そして標準治療の効果が乏しくなった場合に検討できる選択肢までを、がん免疫療法専門クリニックである日比谷内幸町クリニックがわかりやすく解説します。

【この記事でわかること】●乳がんステージ4がどのような状態か(末期がんとの違い)●ステージ別の5年・10年生存率と数字の正しい読み方●余命の考え方と臨床試験データ●転移部位別に現れる症状と受診すべきサイン●サブタイプ別の治療方針と薬物療法・手術・放射線・緩和ケアの全体像●標準治療の効果が乏しくなったときに検討できる選択肢(遺伝子パネル検査・臨床試験・免疫細胞療法)●治療と生活(仕事・食事・費用)に関する疑問への回答

乳がんステージ4とは【遠隔転移がある状態】

乳がんステージ4(Ⅳ期)とは、がんが乳房や周囲のリンパ節を越えて、骨・肺・肝臓・脳などの離れた臓器に転移(遠隔転移)している状態です。しこりの大きさやリンパ節転移の有無にかかわらず、遠隔転移が1か所でも確認されればステージ4と診断されます。逆に言えば、乳房のしこりがどれほど大きくても、遠隔転移がなければステージ4ではありません。

日本では乳がんと診断される女性は年間約10万人にのぼり(2023年:女性102,592人)、女性がかかるがんの中で最も多いがんです。乳がんによる死亡数は年間約1万6千人(2024年:16,005人)ですが、乳がん全体の5年生存率は約90%と高く、がんの中でも治療法の開発と進歩がもっとも活発な分野の一つです(出典:国立がん研究センター がん統計)。

乳がんが遠隔転移しやすい部位は、骨、肺・胸膜、肝臓、脳、遠隔リンパ節、皮膚などです。中でも骨転移の頻度が最も高く、最初の転移が骨に見つかるケースが多くみられます。転移した先の臓器で増えているのはあくまで「乳がんの細胞」であり、例えば骨に転移しても「骨のがん」に変わるわけではありません。このため治療も、転移先ごとの治療ではなく、乳がんの性質(サブタイプ)に合わせた全身治療が基本になります。

乳がんのステージ分類(TNM分類)一覧

乳がんのステージ(病期)は、「しこりの大きさ(T)」「リンパ節転移の有無・程度(N)」「遠隔転移の有無(M)」の3要素を組み合わせたTNM分類によって、0期からⅣ期までの5段階(細分すると8段階)に分けられます。ステージはがんの進行度を表す共通の物差しであり、治療方針や予後の見通しを立てる基準になります。

ステージしこりの大きさリンパ節転移遠隔転移
0期しこりとして触れない(非浸潤がん)なしなし
Ⅰ期2cm以下なしなし
ⅡA期2cm以下/2〜5cmあり/なしなし
ⅡB期2〜5cm/5cm超あり/なしなし
ⅢA期5cm以下/5cm超腋窩・内胸リンパ節への転移なし
ⅢB期胸壁固定・皮膚浸潤(大きさ不問)問わないなし
ⅢC期大きさ不問鎖骨上下等への広範な転移なし
Ⅳ期大きさ不問問わないあり

ステージ4は「末期がん」と同じではない

結論から言うと、乳がんステージ4は「末期がん」と同義ではありません。「ステージ4=末期=もう何もできない」と受け止めてしまう方が少なくありませんが、これは誤解です。

厚生労働省は「末期」について、「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」としています(平成18年 全国厚生労働関係部局長会議資料)。つまり末期がんとは、病期(ステージ)ではなく「有効な治療手段がなくなった状態」を指す言葉です。

乳がんステージ4には、ホルモン療法、抗HER2療法、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体など数多くの治療選択肢があり、治療によってがんを小さくしたり、進行を数年単位で抑えたりすることが可能です。ステージ4と診断されても、治療できない状態とはまったく異なります。

初発のステージ4と「再発・転移乳がん」の違い

ステージ4の乳がんには、大きく2つのパターンがあります。①最初の診断の時点ですでに遠隔転移が見つかる場合(初発ステージ4/de novoステージ4)と、②手術などの初期治療を終えた後に、他の臓器への転移(遠隔再発)が見つかる場合です。

②は正式にはステージ4とは呼ばず「転移・再発乳がん」といいますが、遠隔転移を有する点で病状は共通しており、治療の考え方も同じく薬物療法を中心とした全身治療が基本になります。ただし②の場合、初期治療で使った薬の種類や、治療終了から再発までの期間が薬剤選択に影響します。また、原発巣と転移巣でがんの性質(ホルモン受容体・HER2)が変化していることがあるため、可能であれば転移巣の組織を採取してサブタイプを確認し直すことが推奨されます。

乳がんステージ4の生存率【5年39.8%・10年17.0%】

国立がん研究センターの院内がん登録によると、乳がんステージ4の5年純生存率は39.8%、10年純生存率は17.0%です。ステージ4と診断された方の約4割が5年以上生存しており、「ステージ4=残された時間がわずか」ではないことがデータからも読み取れます。

なお「純生存率(ネット・サバイバル)」とは、乳がん以外の死因の影響を統計的に取り除き、「乳がんだけが死因になると仮定した場合」の生存率を推計した数値です。高齢の患者さんが他の病気で亡くなるケースを除外できるため、がんそのものの影響をより正確に反映します。死因を問わないすべての死亡を含めた「実測生存率」では、ステージ4は38.6%と報告されています。

ステージ別の5年・10年生存率一覧

診断時のステージ5年純生存率10年純生存率
ステージ198.9%93.7%
ステージ294.6%85.4%
ステージ380.6%63.8%
ステージ439.8%17.0%

生存率の数字を見るときの注意点

生存率のデータを見るときは、次の3点に注意が必要です。

第一に、生存率は過去に診断された多くの患者さんの統計であり、一人ひとりの余命を示すものではありません。平均的な数字がそのままご自身に当てはまるわけではなく、実際の経過はサブタイプ、転移部位と数、年齢、全身状態、治療への反応によって大きく異なります。

第二に、統計には時間差があります。上記の数値は2012〜2015年に診断された方のデータです。その後、CDK4/6阻害薬(2017年承認)、免疫チェックポイント阻害薬、トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)のHER2-low乳がんへの適応拡大(2023年以降)など、生存期間を延長させる新しい治療が次々と登場しています。現在治療を受ける方の見通しは、統計の数字より良くなっている可能性が十分にあります。

第三に、生存率の計算方法(実測生存率か純生存率・相対生存率か)や、データの出どころ(全国がん登録か院内がん登録か)によって数値は変わります。複数のサイトで数字が微妙に異なるのはこのためです。数字だけを比較して一喜一憂せず、ご自身の状況に基づいた見通しを主治医に確認することが大切です。

乳がんステージ4の余命

「あと何年生きられるのか」は、ステージ4と診断された方とご家族が最も知りたいことの一つです。しかし、余命は一律に決まるものではなく、医師が伝える「余命○か月」も、あくまで同じような病状の患者さんの生存期間の中央値(半数の方が生存していた期間)に基づく統計的な目安に過ぎません。

参考になるのは、特定のサブタイプ・治療段階の患者さんを対象にした臨床試験で報告されている「全生存期間中央値(OS中央値)」です。現在の標準治療を受けた場合の水準を知る手がかりになります。

臨床試験で報告された生存期間の目安

タイプ・治療段階代表的な臨床試験全生存期間中央値
ホルモン受容体陽性・HER2陰性(一次治療)MONALEESA-2(リボシクリブ+レトロゾール)63.9か月(約5年4か月)
HER2陽性(一次治療)CLEOPATRA(ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル)57.1か月(約4年9か月)
トリプルネガティブ・PD-L1陽性(一次治療)KEYNOTE-355(ペムブロリズマブ+化学療法)23.0か月
HER2-low(二次治療以降)DESTINY-Breast04(トラスツズマブ デルクステカン)23.4か月

余命は一人ひとり大きく異なる

上記はあくまで臨床試験に参加した集団の「中央値」であり、半数の方はこれより長く生存しています。ホルモン受容体陽性・HER2陰性タイプの一次治療では生存期間中央値が5年を超えており、「ステージ4=余命1〜2年」という従来のイメージは、少なくとも一部のタイプでは既に過去のものになりつつあります。

余命に影響する主な要素は、①サブタイプ(がんの性質)、②転移部位(内臓転移か骨・リンパ節のみか)と転移の数、③治療への反応性、④年齢・全身状態、⑤利用できる治療選択肢の数です。また、余命宣告の数字は「その時点で使える治療」を前提にした目安であり、治療の進歩や新薬の承認によって変わり得るものです。数字に縛られすぎず、いま受けられる最善の治療を主治医と一緒に選んでいくことが大切です。

乳がんステージ4は完治するのか【完全奏効と完治の違い】

乳がんステージ4では、がんが複数の臓器に広がっているため、手術ですべてのがんを取り除いて「治療を終了する」ことを目指す病期ではありません。医学的には、完治(治癒)を目標とするのではなく、がんの進行を長く抑えながら共存していくことが治療の基本方針になります。

ただし、「ステージ4では絶対に病変が消えない」という意味ではありません。薬物療法が非常によく効き、画像検査で確認できる病変がすべて消える「完全奏効(完全寛解)」に至り、その状態が長期間続く患者さんも実際に存在します。

ここで重要なのは、「完全奏効」と「完治」は同じ意味ではないという点です。完全奏効は「現在の検査でがんを確認できない状態」を指し、画像では捉えられない微小ながん細胞が体内に残っている可能性があるため、通常は治療を継続しながら経過を観察します。一方「完治(治癒)」は「将来も再発しないと判断できる状態」を意味し、ステージ4乳がんで完治と判断されることは多くありません。

まとめると、ステージ4乳がんの完治は一般に難しいものの、①完全奏効・長期寛解という形でがんを抑え込める可能性はあり、②完治を目指せない場合でも、進行を抑えて日常生活を保ちながら長く生活することは十分に目指せる、というのが正確な理解です。

乳がんステージ4の主な症状【転移部位別】

乳がんは初期には自覚症状がほとんどありませんが、ステージ4になると、乳房のしこりや皮膚の変化に加えて、転移した臓器に応じたさまざまな症状が現れます。ステージ4はしこりの大きさを問わないため、乳房の変化に気づく前に、転移先の症状(腰痛や咳など)がきっかけで発見されるケースもあります。

また、がんの進行そのものに伴う全身症状として、強い疲労感・倦怠感、食欲不振、体重減少が現れることがあります。この背景には、進行がんに伴う代謝異常「がん悪液質」が関係していることがあり、単なる疲れと自己判断せず主治医に伝えることが重要です。

転移部位主な症状注意すべきサイン
骨(最も多い)背中・腰・骨盤・肋骨などの持続する痛み、病的骨折、高カルシウム血症夜間も続く痛み、足の脱力・しびれ・排尿障害(脊髄圧迫の疑い→緊急受診)
肺・胸膜長引く咳、息切れ、胸の痛み、血痰、胸水による呼吸困難いつもと違う咳が続く、階段で強い息切れ、呼吸困難の悪化
肝臓食欲不振、腹部の張り、倦怠感、黄疸、腹水皮膚・白目の黄染、急な腹囲の増加
脳朝方に強い頭痛、吐き気・嘔吐、手足のまひ・しびれ、けいれん、視覚の異常けいれん発作、急なまひ・ろれつが回らない(緊急受診)
リンパ節・皮膚脇の下や鎖骨周囲のしこり・腫れ、腕のむくみ(リンパ浮腫)、皮膚のしこり・ただれ・出血急速に大きくなるしこり、出血を伴うただれ

骨転移の症状:痛み・骨折・高カルシウム血症

骨は乳がんが最も転移しやすい部位で、特に背骨(脊椎)、骨盤、大腿骨、肋骨に多くみられます。初期には体を動かしたときだけ痛む程度でも、進行すると安静時や夜間にも痛みが続き、睡眠や歩行に影響します。ぶつけた覚えがないのに続く腰や背中の痛みは、骨転移のサインである可能性があります。

がん細胞が骨を壊すと骨がもろくなり、わずかな力でも骨折する「病的骨折」を起こすことがあります。また、骨から溶け出したカルシウムによって血液中のカルシウム濃度が上がる「高カルシウム血症」になると、吐き気、のどの渇き、便秘、意識のもうろうなどが現れ、重症化すると命に関わるため早急な治療が必要です。

とくに注意が必要なのは、背骨の転移巣が神経を圧迫する「脊髄圧迫」です。足の脱力・しびれ、尿が出にくい・漏れるといった症状が急に現れた場合は、麻痺を防ぐために24〜48時間以内の緊急治療が必要とされます。我慢せず、すぐに主治医または救急外来へ連絡してください。

肺・胸膜転移の症状:咳・息切れ・胸水

肺は血流が豊富なため、乳がんが転移しやすい臓器の一つです。初期は無症状のことが多く、定期検査のCTで偶然発見されるケースもありますが、進行すると空咳が続く、痰に血が混じる(血痰)、少し動いただけで息が切れる、胸が痛むといった症状が現れます。

また、肺を包む胸膜に転移すると、肺の外側に水がたまる「胸水」が起こることがあります。胸水が増えると肺が圧迫されて呼吸困難が強まるため、水を抜く処置(胸腔穿刺・胸膜癒着術)で症状をやわらげます。長引く咳や息切れは風邪と自己判断せず、早めに受診しましょう。

肝転移の症状:食欲不振・黄疸・腹水

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、転移の初期にはほとんど症状がありません。腫瘍が大きくなると、食欲不振、みぞおちや右脇腹の張り・鈍い痛み、倦怠感、体重減少が現れます。

さらに進行して肝臓の機能が低下すると、ビリルビンという色素が処理できなくなり、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」が現れます。また、アルブミンの低下などによりお腹に水がたまる「腹水」が起こると、腹部の膨満感や呼吸のしづらさにつながります。黄疸や急な腹囲の増加は肝機能低下のサインであり、早急な対応が必要です。定期的な血液検査(肝機能)と画像検査による早期発見が重要になります。

脳転移の症状:頭痛・嘔吐・まひ・けいれん

脳転移は、腫瘍が脳を圧迫したり脳圧が上がったりすることで症状が現れます。特徴的なのは朝方に強い頭痛で、吐き気・嘔吐を伴うことがあります。腫瘍のできた場所によって、手足のまひやしびれ、言葉が出にくい、ものが二重に見える、ふらつき、性格の変化など、現れる症状はさまざまです。けいれん発作で発見されることもあります。

なお、乳がんの中でもHER2陽性タイプとトリプルネガティブタイプは脳転移のリスクが比較的高いことが知られており、これらのタイプでは頭痛やふらつきなどの症状に特に注意が必要です。脳転移は放射線治療(定位照射)などで症状の改善が期待できるため、早期発見が重要です。

リンパ節・皮膚転移の症状

脇の下(腋窩)や鎖骨周囲のリンパ節に転移すると、しこりや腫れとして触れることがあります。リンパの流れが妨げられると腕がむくむ「リンパ浮腫」が起こり、腕のだるさや動かしにくさにつながります。

皮膚転移は、手術痕の周辺や胸壁に硬いしこりや赤み、ただれ(びらん・潰瘍)として現れることがあり、出血や浸出液を伴う場合は処置が必要です。急に大きくなるしこりや出血を伴うただれに気づいたら、早めに主治医へ相談してください。

治療方針を決める検査とサブタイプ分類

乳がんステージ4の治療は、ステージだけで決まるのではなく、「サブタイプ」と呼ばれるがんの性質によって大きく変わります。サブタイプは、がん細胞の増殖に女性ホルモンが関わるかを示す「ホルモン受容体(エストロゲン受容体ER・プロゲステロン受容体PgR)」、増殖のアクセルとなるタンパク質「HER2」の有無、がんの増殖スピードを示す「Ki-67」によって分類されます。

このほか治療方針の決定には、CT・骨シンチグラフィ・PET-CTなどの画像検査(転移の場所と広がりの確認)、血液検査(臓器機能・腫瘍マーカー)、心臓超音波検査(抗HER2療法の前に心機能を確認)などが行われます。

サブタイプ分類と治療の考え方(一覧表)

サブタイプホルモン受容体HER2治療の中心
ルミナルAタイプ陽性陰性ホルモン療法(+CDK4/6阻害薬)
ルミナルBタイプ陽性陰性ホルモン療法+化学療法
ルミナルHER2タイプ陽性陽性ホルモン療法+抗HER2療法+化学療法
HER2タイプ陰性陽性抗HER2療法+化学療法
トリプルネガティブ陰性陰性化学療法(+免疫チェックポイント阻害薬・PARP阻害薬)

転移巣の再生検:がんの性質は変化することがある

がんの性質は治療の経過とともに変化することがあり、最初に調べた乳房のがんと転移巣とで、ホルモン受容体やHER2の結果が一致しないことが10〜30%程度あると報告されています。そのため、安全に組織が採取できる場合は転移巣の「再生検」を行い、現在のがんの性質を確認したうえで治療を選ぶことが推奨されています。

再生検の結果、例えばHER2陰性だったがんがHER2陽性やHER2-lowに変わっていれば、抗HER2薬や抗体薬物複合体という新たな治療候補が生まれます。「一度調べたから終わり」ではなく、治療の節目でがんの性質を確認し直すことが、治療選択肢を広げることにつながります。

HER2-low・遺伝子検査・がん遺伝子パネル検査

近年、従来「HER2陰性」とされてきた乳がんの中に、HER2がわずかに発現している「HER2-low(さらに微量のHER2-ultralow)」というグループがあることがわかり、抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)の効果が示されました。臨床試験(DESTINY-Breast04/06)では、従来の抗がん剤に比べて病状の進行を有意に遅らせることが報告されています。ご自身のHER2の詳しい結果(0か、1+か、2+か)を主治医に確認する価値があります。

また、生まれつきのBRCA1/BRCA2遺伝子の病的変異があるかを調べる検査(陽性ならPARP阻害薬の適応)、血液中のがん由来DNAを調べるリキッドバイオプシー、がんの遺伝子変化を一度に数百種類調べて適合する薬や臨床試験を探す「がん遺伝子パネル検査」(標準治療が終了・終了見込みの場合等に保険適用)など、遺伝子情報に基づいて治療を選ぶ時代になっています。

乳がんステージ4の治療の全体像

乳がんステージ4の治療は、全身に効果がおよぶ薬物療法が中心です。治療の目的は「がんを完全に取り除くこと」ではなく、「がんの進行をできるだけ長く抑え、症状をやわらげ、臓器の働きと日常生活を保ちながら治療を続けること」に置かれます。そのうえで、症状や病状に応じて手術・放射線治療・緩和ケアを組み合わせる「集学的治療」が行われます。

治療は一度決めたら終わりではなく、効果(画像検査・腫瘍マーカー・症状)と副作用のバランスを定期的に評価しながら、継続・変更・休止を柔軟に判断していきます。一つの薬が効かなくなっても、次の選択肢へ順番につないでいくのがステージ4治療の基本戦略です。使う薬の種類と順番はサブタイプによって大きく異なるため、次章からサブタイプ別に解説します。

薬物療法が中心となる理由

ステージ4では、画像に写っている転移巣以外にも、目に見えない微小ながん細胞が全身に存在している可能性があります。このため、乳房や一部の転移巣だけを手術や放射線で治療しても全身の病気は制御できず、血流に乗って全身に行き渡る「薬」で治療することが最も合理的なのです。手術をしないのは「あきらめ」ではなく、全身治療を優先する医学的に妥当な判断です。

手術を行う場合・行わない場合

ステージ4では、がんがすでに全身に広がっているため、乳房のがんだけを手術で切除しても全身のがんを制御することはできず、手術は基本的に行いません。これは「見捨てられた」わけではなく、全身に効く薬物療法を優先するほうが理にかなっているためです。

ただし例外もあります。①乳房の病変が皮膚に露出して出血・ただれ・感染を起こしている場合の症状緩和目的の切除、②薬物療法が非常によく効き、残った病変の切除に意義があると判断される場合、③骨折予防のための骨の補強手術や、脊髄圧迫に対する緊急手術などです。手術のメリット(症状の改善)とデメリット(体への負担・回復期間)を主治医とよく相談して判断します。

放射線治療

放射線治療は、ステージ4では「がんをすべて消す」目的ではなく、症状の緩和と局所の制御を目的に行われます。代表的なのは、①骨転移の痛みの緩和(多くの方で痛みの軽減が期待できます)、②脳転移に対する治療(転移の数が少なければピンポイントで照射する定位放射線治療、多発する場合は全脳照射)、③出血や気道狭窄など局所症状の改善です。

1回数分の照射を数回〜十数回に分けて行うのが一般的で、外来通院で受けられます。副作用は照射部位の皮膚炎や倦怠感などが中心で、全身への影響は薬物療法より軽い治療です。痛み止めだけでコントロールが難しい骨の痛みには、放射線治療という選択肢があることをぜひ知っておいてください。

緩和ケア・支持療法は診断時から受けられる

緩和ケアというと「治療をあきらめた後の終末期医療」というイメージを持つ方が多いのですが、これは誤解です。緩和ケアは、がんと診断されたときから、がんに対する治療と並行して受けられるケアであり、早期から取り入れることで生活の質が向上することが示されています。

緩和ケアでは、痛み・吐き気・息苦しさなどの身体的な苦痛の治療、不安や落ち込みへの心のケア、仕事や費用など社会的な悩みの相談、ご家族のサポートまでを多職種チームで行います。医療用麻薬を含む適切な痛みの治療が寿命を縮めることはないことが示されており、痛みを我慢することにメリットはありません。全国のがん診療連携拠点病院には緩和ケアチームと「がん相談支援センター」があり、外来・入院・在宅のいずれでも利用できます。

ホルモン受容体陽性・HER2陰性乳がんの治療

ホルモン受容体陽性・HER2陰性は、乳がんの中で最も多いタイプです。がん細胞が女性ホルモン(エストロゲン)を栄養にして増殖するため、ホルモンの働きを抑える「ホルモン療法(内分泌療法)」が治療の柱になります。

現在の標準的な一次治療は、ホルモン療法薬に「CDK4/6阻害薬」(パルボシクリブ、アベマシクリブ、リボシクリブ)を組み合わせる方法です。CDK4/6阻害薬はがん細胞の分裂サイクルにブレーキをかける飲み薬で、ホルモン療法単独に比べて進行を大幅に遅らせることが複数の臨床試験で示されています。リボシクリブ+レトロゾールの臨床試験(MONALEESA-2)では、生存期間中央値63.9か月という結果が報告されました。

ホルモン療法薬には、アロマターゼ阻害薬(レトロゾール、アナストロゾール:閉経後)、抗エストロゲン薬(フルベストラント等)、LH-RHアゴニスト製剤(閉経前に卵巣機能を抑える注射)などがあり、閉経の前後で使い分けます。閉経前の方はLH-RHアゴニストを併用することで、閉経後と同様の治療が可能になります。

長く治療を続けるうちにホルモン療法が効きにくくなることがあり、原因の一つとしてESR1という遺伝子の変異が知られています。近年はESR1変異に対応する新しい経口ホルモン療法薬も登場しており、効かなくなった後の選択肢も増えています。内臓転移が広範で進行が速い場合は、最初から抗がん剤を選択することもあります。

主な副作用は、ほてり・関節痛・骨密度の低下(ホルモン療法薬)、白血球減少・倦怠感・下痢(CDK4/6阻害薬)などですが、抗がん剤に比べると生活への影響は小さく、飲み薬中心で外来通院により長く続けやすい治療です。

HER2陽性乳がんの治療

HER2陽性乳がんは、がん細胞の表面にHER2というタンパク質が多く発現し、これが増殖のアクセルになっているタイプです。かつては進行が速く治療が難しいタイプとされていましたが、HER2を狙い撃ちする「抗HER2薬」の登場によって治療成績が最も大きく改善したタイプでもあります。

一次治療の標準は、トラスツズマブ(ハーセプチン)+ペルツズマブ(パージェタ)+タキサン系抗がん剤の3剤併用です。この治療の臨床試験(CLEOPATRA)では生存期間中央値57.1か月と報告されており、5年近い生存期間の中央値はステージ4治療の進歩を象徴する数字です。ホルモン受容体も陽性の場合は、抗HER2薬とホルモン療法を組み合わせる選択肢もあります。

二次治療以降では、抗体に抗がん剤成分を結合させてがん細胞へ直接届ける「抗体薬物複合体(ADC)」であるトラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)が高い効果を示します。さらにその後も、トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ)や、脳転移への効果が期待される薬剤など、複数の選択肢が控えています。

HER2陽性乳がんは脳転移を起こしやすいことが知られていますが、脳への移行性がある薬や定位放射線治療を組み合わせることで、脳転移があっても治療を続けることが可能です。

注意すべき副作用として、トラスツズマブ等による心機能低下(治療前・治療中に心臓超音波検査で確認)、エンハーツによる間質性肺疾患(空咳・息切れ・発熱が初期サイン。早期発見が重要)があります。

HER2-low/HER2-ultralow乳がんの治療【新しい治療対象】

従来、HER2の検査結果は「陽性」か「陰性」の2択で判断されてきました。しかし近年、「陰性」とされてきた乳がんの中に、HER2がわずかに発現している「HER2-low」、ごく微量に発現している「HER2-ultralow」というグループがあることがわかり、治療の考え方が大きく変わりました。

HER2-lowの乳がんに対しては、抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)の効果が臨床試験で示されています。化学療法歴のあるHER2-low乳がんを対象とした試験(DESTINY-Breast04)では、従来の抗がん剤に比べて無増悪生存期間・全生存期間の延長が示され、その後の試験(DESTINY-Breast06)ではホルモン療法後のより早い段階やHER2-ultralowへの効果も報告されました。日本でも適応拡大が進んでいます。

重要なのは、過去に「HER2陰性」と説明された方でも、詳しい検査結果(免疫染色スコアが0か、1+か、2+か)によってはHER2-lowに該当し、新しい治療の対象になる可能性があるという点です。以前の検査結果を確認し直す、あるいは転移巣で再検査することに意味があります。主治医に「私のHER2スコアはいくつですか」「HER2-lowに該当しますか」と確認してみてください。

トリプルネガティブ乳がんの治療

トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体(ER・PgR)とHER2のいずれも陰性のタイプで、ホルモン療法や抗HER2療法が効かないため、化学療法(抗がん剤)が治療の中心になります。進行が速い傾向がある一方、抗がん剤が効きやすいという特徴もあります。

近年は化学療法に加えて、新しい選択肢が増えています。①免疫チェックポイント阻害薬:がん細胞のPD-L1が陽性の場合、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)と化学療法の併用が一次治療の選択肢になります(臨床試験KEYNOTE-355)。がん細胞は免疫のブレーキ(PD-1/PD-L1)を悪用して攻撃を逃れており、このブレーキを外して患者さん自身のT細胞ががんを攻撃できるようにする薬です。②PARP阻害薬:生まれつきのBRCA1/2遺伝子変異がある方には、DNA修復の仕組みを標的とするオラパリブ(リムパーザ)等が選択肢になります。③抗体薬物複合体:サシツズマブ ゴビテカン等、トリプルネガティブに対するADCも使えるようになっています。

このように、トリプルネガティブ乳がんは「打つ手が少ないがん」から「検査結果(PD-L1・BRCA・HER2-low該当性)に応じて複数の武器を使い分けるがん」に変わりつつあります。免疫チェックポイント阻害薬には甲状腺機能異常・間質性肺炎などの免疫関連副作用があるため、専門的な管理のもとで治療を行います。

乳がんステージ4の抗がん剤治療と副作用対策

化学療法(抗がん剤)は、細胞分裂の仕組みに作用してがん細胞を攻撃する治療で、どのサブタイプでも治療のどこかの段階で登場します。進行が速い場合、内臓転移で症状が出ている場合、ホルモン療法が効きにくくなった場合などに用いられ、乳がんではアンスラサイクリン系、タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル)、カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビンなどが代表的です。

ステージ4の抗がん剤治療は、早期がんの術前・術後治療とは考え方が異なります。ゴールが「決められた回数をやり切ること」ではなく「効果と体力のバランスを保ちながら長く病気を抑えること」にあるため、単剤を順番に使い、効果がある限り続け、効かなくなったり副作用が強くなったりしたら次の薬に変更するのが基本です。

副作用には、吐き気・脱毛・白血球減少(感染リスク)・貧血・しびれ・口内炎・倦怠感などがありますが、現在は制吐薬(吐き気止め)や白血球を増やす薬(G-CSF)などの支持療法が進歩し、多くの場合外来通院で治療を続けられます。副作用がつらいときの減量・休薬は「治療の失敗」ではなく、治療を長く続けるための前向きな調整です。つらさを我慢せず、遠慮なく医療チームに伝えてください。

転移部位別の治療(骨転移・脳転移・肝転移・肺転移)

転移がどこにあっても、治療の土台はサブタイプに応じた全身薬物療法です。そのうえで、転移部位ごとの症状や合併症を防ぐための「局所治療・支持療法」を上乗せします。

骨転移に対する治療:骨修飾薬・放射線・整形外科的手術

骨転移に対しては、乳がん自体への全身薬物療法に加えて、「骨を守る治療」を組み合わせます。中心となるのは骨修飾薬(ゾレドロン酸、デノスマブ)で、骨を壊す細胞の働きを抑え、痛み・骨折・高カルシウム血症などの合併症(骨関連事象)を減らします。顎骨壊死という副作用を予防するため、投与前に歯科チェックを受けることが推奨されます。

痛みが強い部位には放射線治療を、体重を支える骨(大腿骨など)で骨折リスクが高い場合には、骨折する前に金属で補強する予防的手術を検討します。骨転移があっても、これらの治療を組み合わせることで「歩ける状態」「痛みのない生活」を守ることが治療の目標になります。骨転移=寝たきり、ではありません。

脳転移に対する治療:定位放射線治療が中心

脳には薬が届きにくい性質(血液脳関門)があるため、脳転移には放射線治療が重要な役割を果たします。転移の数が少なく小さい場合は、病変にピンポイントで大量の放射線を当てる「定位放射線治療(ガンマナイフ・サイバーナイフ等)」で、正常な脳への影響を抑えながら治療できます。転移が多発している場合は脳全体に照射する全脳照射を検討します。

腫瘍が大きく症状が強い場合や診断がつかない場合には手術を行うこともあります。また近年は、エンハーツなど脳転移への効果が報告されている薬剤もあり、「脳転移=薬物療法の終わり」ではなくなってきています。頭痛・まひ・けいれんなどの症状はステロイド等で脳のむくみを抑えることでも改善が期待できます。

肝転移・肺転移・胸水/腹水に対する治療

肝転移・肺転移は、サブタイプに応じた全身薬物療法で制御を図ることが基本です。肝臓や肺の転移が広がると臓器の機能が低下し、使える薬が限られてくるため、機能が保たれているうちに有効な薬物療法を行うことが重要になります。

胸水がたまって息苦しい場合は、針を刺して水を抜く処置(胸腔穿刺)や、水がたまらないように胸膜を癒着させる処置(胸膜癒着術)で症状をやわらげます。腹水に対しても同様に、利尿薬や腹水穿刺などで苦痛を軽減します。これらは対症療法ですが、呼吸や食事といった日常の質を大きく改善する大切な治療です。

治療中に早めに連絡すべき症状

次のような症状が現れたときは、次回の予約を待たずに主治医・病院へ連絡してください。●38度以上の発熱(白血球減少時の感染は緊急対応が必要)●急に強くなる痛み、夜眠れない痛み●足の脱力・しびれ、尿が出にくい(脊髄圧迫の疑い)●息苦しさの悪化、空咳や発熱(間質性肺炎・胸水の疑い)●けいれん、急なまひ、激しい頭痛(脳転移の疑い)●食事も水分もとれない状態。事前に「どんなときに、どこへ連絡するか」を主治医と確認しておくと安心です。

標準治療の効果が乏しくなった場合の選択肢

一つの治療の効果が弱くなっても、「治療がすべて終わり」ではありません。現在の薬で病気が進行したことと、使える治療がなくなったことは同じではないからです。次のような選択肢を一つずつ整理し、主治医と相談しながら検討していくことが大切です。

①まだ使っていない標準治療への変更:ホルモン受容体・HER2・PD-L1・遺伝子変化・これまでの治療歴を見直すと、作用の異なる薬が残っていることが少なくありません。腫瘍マーカーの上昇だけで慌てて治療を変えるのではなく、画像・症状・臓器機能を総合して判断します。また、大部分の病変が抑えられていて一部だけが進行している場合は、その部位だけに放射線治療などを行い、全身の薬を継続できることもあります。

②転移巣の再生検・がん遺伝子パネル検査:がんの性質を調べ直すことで、以前は対象にならなかった薬(抗HER2薬・ADC・PARP阻害薬など)や、遺伝子変化に適合する薬・臨床試験が見つかることがあります。

③臨床試験・治験への参加:開発中の新しい治療を受けられる可能性があります。参加には病状や治療歴などの条件があるため、主治医、がん相談支援センター、国立がん研究センターの臨床試験検索サイトなどで情報を集めましょう。

④免疫細胞療法などの自由診療:ご自身の免疫細胞を体外で活性化・増殖させて体内に戻し、がんと闘う免疫力を高めることを目指す治療です。標準治療との併用や、標準治療の継続が難しくなった場合の選択肢として検討されることがあります。公的医療保険の適用外(全額自己負担)であり、標準治療のような大規模臨床試験による効果の証明は確立していないため、治療内容・費用・期待できることと限界について十分な説明を受け、納得したうえで選択することが重要です。

⑤セカンドオピニオンの活用:治療方針に迷ったとき、別の専門医の意見を聞くことは患者さんの正当な権利です。主治医に紹介状(診療情報提供書)を依頼して受けるのが正式な手順で、主治医との関係が悪くなることを心配する必要はありません。

当院の乳がんステージ4に対する治療【高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法】

日比谷内幸町クリニックは、がん免疫療法を専門とするクリニックとして、乳がんステージ4の患者様に「高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法」を提供しています。これは、患者様ご自身の血液から免疫細胞(NK細胞など)を取り出し、約2週間かけて無菌環境で数百倍〜数千倍に増殖・活性化させ、点滴で体内に戻す治療法です。

【特徴1:標準治療と併用できます】本治療は、手術・抗がん剤・放射線などの標準治療を妨げにくい治療法であり、併用が可能です。実際には、主治医の病院での標準治療を継続いただきながら、当院が免疫細胞療法を担当し、2つの医療機関が別々の角度から乳がんにアプローチする体制を構築します。転院の必要はありません。

【特徴2:副作用が少なく、QOLを保ちやすい治療です】患者様ご自身の細胞を用いるため、抗がん剤のような強い副作用は報告されていません(発熱・倦怠感等が一時的に生じる場合があります)。治療は採血と点滴のみで入院は不要のため、お仕事や生活のリズムを保ちながら通院で続けられます。

【特徴3:標準治療が困難になった場合でも検討できます】「これ以上の抗がん剤は難しい」と言われた場合でも、採血が可能な状態であれば治療を検討できます。全身をめぐる免疫細胞を活性化する治療のため、転移・再発のある病状も対象になります。

【治療の流れ】①専門医師による無料相談・カウンセリング → ②診察・採血 → ③約2週間の培養 → ④点滴投与(1回約1時間)→ ⑤経過観察・効果判定。標準治療のスケジュールに合わせて治療計画を調整します。

【費用・リスクについて】本治療は公的医療保険が適用されない自由診療です(費用は治療内容・回数により異なります。詳しくは治療費用のページをご覧ください)。副作用としてまれに発熱・倦怠感等が生じることがあります。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。詳細は治療費用ページ・無料相談でご確認ください。

乳がんステージ4の治療事例

当院で高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法を受けられた、乳がんステージ4の患者様の治療経過を紹介しています。

(症例1)肝臓・多発性骨転移を伴う乳がんの60代女性:手術が困難と判断され、抗がん剤治療と本免疫細胞療法を併用。治療経過中に腫瘍マーカーの低下を認め、画像検査で原発巣・転移巣の縮小を確認しました。

(症例2)リンパ節転移を伴う乳がんの30代女性:抗がん剤(血管内治療)と本免疫細胞療法を併用し、経過中に原発巣の縮小と転移巣の消失を確認しました。

※上記は個別の症例の経過であり、治療効果には個人差があります。すべての方に同様の経過を保証するものではありません。詳細な治療内容・費用・リスクは各症例ページをご覧ください。

治療と生活:仕事・食事・運動・費用

【仕事】乳がんステージ4の薬物療法の多くは外来通院で受けられるため、治療と仕事を両立している方は少なくありません。通院日や副作用が出やすい時期に合わせて、勤務時間の調整・在宅勤務・休暇制度を活用しましょう。会社の産業医や、病院のがん相談支援センターに両立支援の相談ができます。

【食事】「食べてはいけないもの」は基本的にありません。バランスよく、食べられるものを食べられるときに摂ることが基本です。治療中は味覚の変化や食欲不振が起こることがあるため、無理に量を摂ろうとせず、管理栄養士への相談も活用してください。極端な食事療法(糖質を完全に断つ等)は体力低下を招くおそれがあり推奨されません。

【サプリメント・健康食品】使用してよいか迷う場合は、必ず主治医・薬剤師に相談してください。薬物療法の効果や副作用に影響する成分(セント・ジョーンズ・ワート等)があるためです。「がんに効く」と宣伝される高額な健康食品には科学的根拠が乏しいものが多く、注意が必要です。

【運動】体調に合わせた適度な運動(ウォーキング等)は、倦怠感の軽減や体力維持に役立つとされています。ただし骨転移がある場合は、骨折リスクの少ない動き方を主治医・リハビリ担当者に確認してから行いましょう。

【費用】保険診療の薬物療法は高額になりがちですが、高額療養費制度により1か月の自己負担には上限があります(所得により異なる)。医療費控除、傷病手当金、障害年金など利用できる制度もあるため、病院の医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターに早めに相談することをおすすめします。

まとめ:乳がんステージ4でも治療の選択肢はあります

乳がんステージ4は、がんが離れた臓器に転移している進行した状態ですが、「末期がん」と同義ではありません。5年純生存率は39.8%と約4割の方が5年以上生存しており、CDK4/6阻害薬や抗体薬物複合体などの新しい治療によって、治療成績は年々改善しています。

治療はサブタイプに応じた薬物療法を中心に、放射線治療・緩和ケアを組み合わせて、がんの進行を抑えながら生活の質を保つことを目指します。一つの治療が効かなくなっても、再生検・遺伝子パネル検査・臨床試験・免疫細胞療法など、検討できる選択肢は残されています。大切なのは、正確な情報をもとに、納得できる治療を主治医と一緒に選んでいくことです。

日比谷内幸町クリニックでは、乳がんステージ4の患者様とご家族を対象に、専門医師による無料相談を実施しています。「標準治療と併用できる治療を探している」「標準治療の継続が難しいと言われた」「セカンドオピニオン的に話を聞いてみたい」という方は、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。(受付時間:平日9:00〜17:00/お電話・WEBフォームで受付)

乳がんステージ4に関するよくあるご質問

乳がんステージ4は末期がんと同じですか?

いいえ、同じではありません。末期がんとは「治癒を目指した治療に反応せず、治癒困難と医師が判断した状態」を指す言葉で、病期(ステージ)とは別の概念です。ステージ4にはホルモン療法・抗HER2療法・抗がん剤など多くの治療選択肢があり、進行を長期間抑えながら日常生活を続けている方が数多くいます。

乳がんステージ4の生存率はどのくらいですか?

国立がん研究センターの院内がん登録によると、乳がんステージ4の5年純生存率は39.8%、10年純生存率は17.0%です(5年は2014〜2015年、10年は2012年診断例)。約4割の方が5年以上生存しており、新しい薬の登場により、現在治療を受ける方の見通しはこの数字より良くなっている可能性があります。

乳がんステージ4の余命はどのくらいですか?

余命は一律には決まりません。参考として、臨床試験ではホルモン受容体陽性・HER2陰性タイプの一次治療で生存期間中央値63.9か月(約5年4か月)、HER2陽性タイプで57.1か月と報告されています。サブタイプ・転移部位・治療への反応によって大きく異なるため、ご自身の状況は主治医に確認してください。

乳がんステージ4は完治しますか?

完治(治癒)と判断されることは一般に多くありませんが、薬物療法がよく効いて画像上の病変がすべて消える「完全奏効」に至り、長期間その状態を保つ方はいます。完治を目指せない場合でも、がんの進行を抑えて生活の質を保ちながら長く生活することは十分に目指せます。

ステージ4では手術はできないのですか?

全身にがんが広がっているため、乳房の手術だけでは病気を制御できず、基本的には行いません。ただし、出血やただれなど局所の症状が強い場合や、薬物療法の効果が高く切除に意義がある場合、骨折予防の補強手術などでは手術を検討することがあります。

どのような症状が出ますか?

転移部位によって異なります。骨転移では腰や背中の持続する痛み・骨折、肺転移では咳・息切れ・血痰、肝転移では食欲不振・黄疸・腹水、脳転移では頭痛・嘔吐・まひなどが代表的です。原因不明の痛みや長引く咳が続く場合は早めに主治医に相談してください。

治療はいつまで続きますか?

「何回で終了」という決まった期間はありません。効果が続き副作用が許容できる間は同じ治療を継続し、進行や副作用に応じて薬を変更していきます。効果と生活の質のバランスを見ながら、主治医と相談して治療計画を定期的に見直していくのが基本です。

入院が必要ですか?

多くの薬物療法は外来通院で受けられます。内服薬は自宅で服用し、点滴も通院で行うのが一般的です。強い症状(骨折・脊髄圧迫・呼吸困難など)への処置や重い副作用への対応が必要な場合には入院を検討します。

仕事を続けながら治療できますか?

外来治療が中心のため、治療と仕事を両立している方は多くいます。通院日や副作用の出やすい時期に合わせて勤務調整や在宅勤務を活用しましょう。病院のがん相談支援センターや会社の産業医に両立支援を相談できます。

標準治療が効かなくなったらどうすればいいですか?

まだ使っていない薬が残っていないかの整理、転移巣の再生検、がん遺伝子パネル検査、臨床試験・治験、免疫細胞療法などの自由診療といった選択肢があります。セカンドオピニオンで別の専門医の意見を聞くことも有効です。「治療がない」と言われても、確認できることは残っています。

免疫細胞療法は標準治療と併用できますか?

当院の高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は、手術・抗がん剤・放射線などの標準治療を妨げにくい治療法であり、併用が可能です。主治医の病院での治療を続けながら通院で受けられます。なお本治療は公的保険適用外の自由診療です。詳しくは無料相談でご説明します。

食べてはいけないものはありますか?

基本的にありません。バランスよく、食べられるものを食べられるときに摂ることが大切です。ただしサプリメントや健康食品は薬物療法に影響する成分を含むことがあるため、使用前に主治医・薬剤師へ相談してください。極端な食事制限は体力低下を招くため推奨されません。

監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)/日本外科学会員 医師紹介ページ

本ページの情報は一般的な医学情報であり、個々の診断・治療方針に代わるものではありません。治療効果には個人差があります。ご自身の病状については主治医にご確認ください。

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